国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

日本政府がイラクで紛争の影響を受けた農家の生計とレジリエンス構築を支援

2018/02/08

先頃、イラク・レバントのイスラム国から奪還した地域に暮らす脆弱な家族は、日本政府からの寛大な支援によって、まもなく、新鮮で栄養価の高い野菜を栽培する手段を得ることができるようになります。

日本政府による150万USドルの支援は、紛争の影響を受けたアンバール県、キルクーク県、ニナワ県、サラーハッディーン県に暮らす3000人に恩恵を与えるものです。こうした家族らは紛争中、そのまま自分たちの場所に留まったり、最近帰還したりした人々で、早期に食料入手、食料の多様性、収入を向上させ、自立を高めるため、家庭菜園や温室栽培に必要な資材、農具、トレーニングを受けることになります。

岩井文男駐イラク日本国大使は「日本政府が補正予算を通して「イスラム国」による影響を受けた脆弱なイラク人とシリア人を支援するのは4年連続となります。日本がいかに強力に、また誠実に、イラクにある難民キャンプや帰還地域で、基本的なニーズを満たせるよう取り組んでいるのかを示しています。」と述べました。

また、「FAOへの支援は、イラクにおける新たな人道・安定化支援の一環で、支援額は約1億USドルにのぼります。日本は、イラクの避難民や帰還民、難民、ホストコミュニティへの貢献を固く決意するとともに、イラクの発展に向けた取り組みも支援していきます。」と加えました。

女性が世帯主の農家を含む約1260人の脆弱な農家は、家庭菜園キット(プランター、野菜の種子、肥料、園芸道具)とトレーニングを受けることになっています。

その他1740人は温室野菜栽培キット(種子、農具及び肥料)と、FAO及び農業省による、収穫、保存、加工とマーケティングを含む野菜生産についてのトレーニングを受ける予定です。温室はプロジェクト終了後もそのまま地域に残されます。

FAOイラク事務所長のファドル・エルズビは「日本のFAOイラクへの強力で継続的な支援は、国にとって非常に重要な時期に決定されました」と述べた上で、「2017年末に政府が「イスラム国」に支配されていたほぼすべての地域を奪還し、現在の重点は復興とレジリエンス構築に移っています。自営の機会創出、収入と購買力の改善を通し、今回のプロジェクトは、社会の安定化を支え、また直接的に、地域の平和で持続可能な農村復興に貢献していきます。」と話しました。

プロジェクトの便益として、街や都市での新たな生計機会を探す必要のある家族が農村部から都市へ移住するリスクを低減することがあげられます。紛争の影響を受けたコミュニティへのキャッシュフローが再開されることで、現地市場が活性化され、経済発展を活発化させます。これにより、人々が食料のニーズを満たすために家畜、農具、土地といった基本的資産を売り渡すことを防ぎます。

2018年人道対応計画及びイラク復興とレジリエンスプログラム2018-2019の下、FAOは帰還パッケージ(多目的用現金、農業投入資材、キャッシュ・フォー・ワーク)を通し220万人を支援するため1億700万USドルの緊急資金を求めています。パッケージには、灌漑システムや貯蔵、加工施設、農業省のインフラ及び資産の復旧や、越境性の動植物の害虫・疫病まん延の予防、水資源管理の推進が含まれています。FAOはイラク政府と連絡調整し、奪還された地域に帰還する家族をはじめ、紛争中もそのまま留まった家族、国内避難民、ホストコミュニティ、シリアからの難民を支援しています。

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