国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

日本政府は国連合同プログラム「全ての人に教育を」を通じて、シリアの最も脆弱な子どもやコミュニティへの支援に2550万USドルを拠出

2018/05/27

ダマスカス - 日本政府は、シリアで国連機関が合同で実施している「全ての人に教育を」プログラムの第2フェーズの資金拠出を発表し、これによりプログラムへの支援は総計2550万USドルにのぼります。「失われた世代にしないために(No Lost Generation)」イニシアティブを主体とし、このプログラムは到達が困難な地域や、包囲された地域に暮らす子どもや若者が質の高い学習やスキル構築、参加へのアクセス向上を確実にすることに貢献していきます。プログラムは2017年初めに始まり、2018年末までに終了する予定です。

「全ての人に教育を」は、国連機関がシリアで実施する最初の合同プログラムであり、学校および非公式な学習空間を使って、栄養や教育、保健、保護のニーズに係る多岐にわたる重要課題に対応するため、UNICEF(国連児童基金)、WFP(国連世界食糧計画)、UNFPA(国連人口基金)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、FAO(国連食糧農業機関)、UN Habitat(国連人間居住計画)、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の7つの国連機関が結集しています。このプログラムは、関与する各国連機関の専門知識を活用して、同じ地域内の子どもたちにサービスを提供します。加えて、学校は先生たちの能力構築のプラットフォームになり、またコミュニティにとっては、意識向上の取り組み、社会保護サービス、生計支援にアクセスするための入り口となります。

「シリア国内のどこであろうと、子ども、若者、女性への教育を通じた人道支援の提供に、日本は高い優先度を置いています」と松本太在シリア日本国臨時代理大使は述べました。「長引く危機にもかかわらず、日本の貢献により、最も脆弱な人々、とりわけシリアの子どもたちが教育を通じて長期的な課題を克服することを強く望んでいます。なぜならシリアの将来は、シリアの全ての子どもたちがどれだけの希望や夢を抱くことができるのかにかかっているのですから。」 

プログラムの第1フェーズのハイライトは次のとおりです。

  • 2万5000人以上の若者や青少年が生活技能や職業訓練、起業家訓練を含む一連のスキル構築や学習活動を受けました。
  • 6000人の子どもたちがUNHCRのコミュニティセンターで非公式な教育機会と補習授業を受けました。
  • 20の学校保健クリニックに備品や医薬品が提供され、8万8000人以上の生徒や先生に恩恵がもたらされました。
  • 30の学校における3万4000人の子どもたちがWFPの学校給食プログラムの提供を受けました。
  • 40の学校への簡易的な復旧により、障害を抱える児童のアクセス改善を含む、約4万8500人の生徒に改善された学習環境が提供されました。 

学校が破壊された緊急事態下では、安定を取り戻し、教育を再建する上で、コミュニティのつながりは重要な要素になります。こうした関係は、緊急時に安全で子どもに優しい学習空間を作る助けとなる橋渡しとなり、また、そうした空間を作ることでコミュニティが大惨事からより迅速に復興を遂げられるようになります。

「この革新的なプログラムを通じ、私たちはコミュニティにある学校や学習空間の重要性を強化することで、子どもたちを呼び集め、彼らの生活を元の正常な状態に戻していくことができます」とUNICEFシリア事務所代表のフラン・エクイザ氏は述べました。「すべての国連姉妹機関を代表して、シリアの最も脆弱な子どもたちに寛大な支援をしてくれた日本の人々と日本政府に非常に感謝しています。」

「FAOのシリアにおける学校菜園の促進は、子どもたちが純粋に学び、成長する能力を高めるための健康的な栄養の確かな基礎を形成しています。このアプローチは、飢餓や栄養不良を終わらせるために栄養豊富な食料の消費を普及させるため、子どもたちの家庭やコミュニティに到達するための出発点にもなっています。」とFAOシリア事務所長代理アダム・ヤオ氏は話しました。 

「7年以上続く危機により、シリアの教育制度は妨げられ、約175万人の子どもや若者たちが学校に通うことができません。WFPの学校給食プログラムは、シリアの子どもたちが再び学校に通える手助けとなり、そして、すべての子どもが教育、保健、栄養へのアクセスを確実にする重要な要素です。」とWFPシリア事務所所長のジェイコブ・カーン氏は話しました。 

このプロジェクトは、シリアに避難する4万7000人のパレスチナ難民の学生に公平で質の高い教育サービスを提供するUNRWAをサポートしています。」とUNRWAシリア事務所のモハメド・アブディ・アダール氏は述べました。 「私たちは一丸となることで、より多くを達成することができます。これは、とりわけ、学校や生活を改善するため、国連ファミリーのさまざまな機関が結束する場合にいえます。UNRWAは日本政府の支援に感謝しています。」

「このような非常に危険な状況の中、日本の拠出は青少年や若者に明るい未来に希望を与えるため欠くことのできないものでした。包括的な一連の介入策は、若い少女や少年たちが健康を守り、彼らの脆弱性、特に性やリプロダクティブ・ヘルス、性に基づく暴力を減らしていく支援を目的に実施されました。」とUNFPAシリア事務所代表マッシモ・ダイアナ氏は語りました。 

失われた世代を作らないことは高潔なミッションであり、それはシリアの脆弱な子どもたちが再び希望を持ち、子ども時代を取り戻し、教育を受け、明るい未来を築くために必要なスキルを身に付けることを手助けすることによって最善に果たされるのです。」とUNHCRダマスカス副代表のアブドゥル・カリム・グール氏は述べました。「国連機関が共同で進める取り組みへの寛大なご支援は、シリアの脆弱な子どもたちやコミュニティに自立を促し、彼らが自信を取り戻すことで、変化をもたらしています。」 

「日本の人々からの多大かつ革新的なご支援のおかげで、最も危機の影響を受けた町に暮らす数千人ものシリアの子どもたちが安全に学校に通い、近隣で遊ぶことができるようになりました。このプロジェクトを通して、国連ハビタットは地元のコミュニティと協力し、子どもたちが使う通りや歩道から瓦礫や破片を取り除いて、太陽光照明を提供し、公共の公園と遊び場を修復しました。」 

プログラムの第2フェースでは、新たな地域への支援を拡大し、より地理的に広範な到達を可能にし、機関間の連携を集約、強化します。さらに、子どもの保護に係る支援には、ストリートチルドレンや児童労働に従事する子ども含まれます。危機が始まって以来、シリアや近隣諸国の子どもや家族に対する日本の支援は総計22億USドルに達し、その支援の約3分の1はシリア国内の受益者に充てられます。

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