国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAOと日本が水管理を通して平和構築と生活を支援

2018/04/23

ナンガルハール県、ベスッド - ナンガルハール県ベスッド地区のミラン取水地近くで、アフガニスタンの農業灌漑牧畜省(MAIL)、国連食糧農業機関(FAO)及びピース・ジャパン・メディカルサービス(PMS:日本のNGO)によって、トレーニングセンター及び宿泊施設の開所式が行われました。

この式典には、モハマド・グラーブ・マンガル ナンガハール県知事をはじめ、同県農業灌漑牧畜局(PAIL)局長、 ナンガルハール渓谷開発機関長(NVDA)、県議会議員および他の県政府局代表者、ベスッド地区長、地元コミュニティの長老らも出席しました。

これらの建物は、日本政府(国際協力機構(JICA))の資金提供により、灌漑システムや関連する組織の能力を向上することで農業生産を改善していくことを目的としたFAOのプロジェクトの下、PMSによって建設が行われました。この建物は、灌漑開発の全段階で利用者を中心に置くというコミュニティベースの手法であるPMSアプローチに関する研修に使用されています。これは、コミュニティのメンバーが、新しい灌漑および水利用設備の設計や構築プロセスに係る決定に直接関与することを意味します。このアプローチは、乾燥地域に焦点を当て、河川の水摂取、運河システム、堆積池や運河門などの灌漑施設を開発することで、干ばつ時でも安定した水の供給が維持できるようにします。

このアプローチを利用して、PMSはすでにナンガルハールの1万5,000ヘクタール以上の砂漠地帯を緑地に変えています。安定した水へのアクセスは、土地の健康と栄養を改善するだけでなく、地域に繁栄をもたらし、さらに、この地域における調和のとれた共生と平和構築に貢献しています。

開所式にあたって県知事は、「中村先生、日本政府、そしてFAOの方々がナンガルハールのためにしてくださったすべてのことについて、感謝の意を表する十分な言葉が見つかりません。皆さんが今ご覧いただいているように、かつては砂漠だったガンベリ地域は、今や緑豊かです。中村先生は、ナンガルハールの人々とその農業コミュニティの心に残るでしょう。中村先生への心からの支持を表明したいと思います」と述べました。また、ナンガルハール県農業灌漑牧畜局長は、日本政府、FAO、PMSに対して建設への謝意を表すとともに、「同県のみならず、他の地域の住民、ミラブ(伝統的水管理人)、並びに灌漑技術者を訓練するために非常に役に立つことでしょう」と述べました。

FAOアフガニスタン国事務所長の七里富雄は、すべての地域住民、政府関係者、日本政府に対して、その支援に感謝の意を表した上で、「PMSアプローチの普及によるこれまでの成果に非常に満足しています。コミュニティのオーナーシップを取り込み、地域の食料安全保障と社会の安定に影響を及ぼすことができる包括的なアプローチなのです」と話しました。

開所式の演説後、県知事とFAO、PAIL、NVDA、PMSの代表がそれぞれ譲渡書に署名しました。その後、代表者らはテープカットを行い、建物の教室に入り、そこで中村先生は、研修生、地方自治体、現地のNGO、FAOに対しPMSアプローチについての紹介プレゼンテーションを行いました。一旦、PMSアプローチの専門家となるトレーナーが育成されれば、彼らが、アフガニスタンで干ばつが起こりやすいすべての地域に、灌漑と地域協力に関するこの包括的なアプローチを普及していくことが期待されています。

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