国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

日本政府、灌漑設備改良と農地における水管理改善に1000万米ドル支援

2018/10/29

日本政府、灌漑設備改良と農地における水管理改善に1000万米ドル支援

 日本政府と国連食糧農業機関(FAO)は10月29日、在アフガニスタン日本大使館で、同国の農業の改善を目指す新しいプロジェクトについての交換公文に署名しました。

この新たな1000万米ドルのプロジェクト「バーミヤン県,カブール県及びカピサ県におけるによる農村の生計拡大計画」は、2010年から2017年初頭まで上記3県で行われていた3つの灌漑施設および水力発電整備プロジェクトに続くものです。先のプロジェクトにおいては、改善された灌漑施設によって180,000ヘクタールの土地に水が供給され、農村部に住むおよそ35,000の人々に電力を供給する小規模水力発電施設が建設されました。このプロジェクトによって供給されている水と電力のおかげで、家族で菜園をつくったり、健康的な食事を調理したり、また、子どもたちは日が暮れても宿題ができるようになりました。この新しいプロジェクトはアフガニスタンの水・エネルギー省との緊密な協力のもと、FAOによって実施される予定です。

日本はこれまで多くの分野、特に農業において、アフガニスタンに投資してきた長い歴史を有しています。 日本はFAOとのパートナーシップでも同様に長い歴史を持っており、家畜疾病から水管理、バリューチェーンの改善に至るまで幅広い分野をカバーしてきました。 この新規プロジェクトでは、水管理に関する知識の向上とともに、7000ヘクタールの土地の灌漑施設の改良によって1万6000人以上の農家が恩恵を受けることが期待されています。これを行うために、プロジェクトでは約190kmの灌漑用水路を修復、最新化、拡張し、伝統的な水管理人(ミラーブ)および水の利用者は、できる限り多くの作物を収穫するための非常に乾燥した地形における最良の水管理方法について研修を受けます。

10月29日に在アフガニスタン日本大使館で行われた署名式には、鈴鹿光次駐アフガニスタン大使、ラジェンドラ・アルヤルFAOアフガニスタン事務所長、モハメド・ガル・クルミ水・エネルギー大臣代理をはじめ、 大使館職員、FAO職員、メディア関係者が出席しました。鈴鹿駐アフガニスタン大使は、「水資源をより良い方法で管理、使用することができれば、間違いなくより多くの農作物を得ることができるようになります。農業分野の開発と安定がなければ、アフガニスタンの発展は非常に困難になるでしょう」と述べました。また、アルヤルFAOアフガニスタン事務所長は、何十年にわたる戦争と農村部から他地域への移住が同国における多くの灌漑施設を劣悪な状態に至らしめていると指摘し、その上で灌漑施設が被害を受けると、灌漑施設に食料と生計を依存する農家の人々も同様に困窮すると述べました。現在、アフガニスタンは今年大規模な食料不安を引き起こしている壊滅的な干ばつに苦しめられており、アルヤル氏は「まさにこのような大きな支援を必要としている時期に、日本がよく考案された新たな水管理プロジェクトを支援してくださることを非常に嬉しく思います」と続けました。

この式典では、交換公文の署名のほか「日・FAOパートナーシップ・レポート 2016 - 2017」の現地向けの発表も行われました。外務省と農林水産省からの多大な支援を得てFAOが作成したこの報告書は、日本政府とFAOとの緊密なパートナーシップを通じて行われた、アフガニスタンをはじめとする世界各地でのFAOの事業を取り上げています。