国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

日本の支援で農村部女性に食品加工技術を シリア

2019/10/08

シリア危機の影響で、国内の多くの女性が世帯主となり、唯一の稼ぎ手として家族を養わざるを得ない状況に置かれています。農村部での雇用機会は限られており、農村に暮らす女性が生計を向上させる方法の一つが、単独もしくは近所に住む者同士でグループをつくり、販売用の食品を加工することです。

シリアのそれぞれの県には、おいしいジャムやピクルス、コショウ糖蜜など本格的なシリア食品をつくる製法があり、それぞれの家庭でも欠かせません。シリアでは「自家製」食材は「最もおいしい」とも考えられています。そんな中、伝統的な製法で、食品基準を遵守しつつ、少し多くの量をより体系的な方法で生産し、地元の市場で広く販売できるようにすることが課題となっています。

販売を成功に導き、利益を生み出すためには、製造基準やブランディング、販売戦略、簿記などを学ぶ研修が必須です。農村女性のエンパワメントを推進する部署(RWED)で働く若い女性技術者たちは、FAOの食品加工研修コースに参加することで、食品生産に関する技術や知識をいっそう深めました。彼女たちはその技術や知識を、さらに農村部に住む女性たちへと届ける重要な役割を担っています。

若い技術者の彼女たちは、科学的に承認された基準に基づく食品加工の技術で、ぜい弱な立場にある女性の自立を支援することに実に意欲的です。

「食品健康基準をはじめ、農村部女性の食品製造にとって有益な情報を学びました」と話すラザン・アルコウリー(27)は、ダマスカス大学農学部でFAOが実施した研修に参加したRWEDの技術者です。ラタキア市やダマスカス市農村地域、ハマ市などの他県で農村女性への研修を予定しているラザンは、「農村部の女性にも扱いやすい、簡単な技術を使ったリンゴやオレンジのジャムなどの食品製造の研修を受けました」と続けました。

FAOは日本政府の支援の下、「女性のエンパワメント」プロジェクトの一環として女性技術者に向けた集中研修プログラムを提供しています。プログラムは、女性参加者の資源や知識にアクセスする権利を保証し、スキルと能力の向上につながっています。

「私がこの研修から学んだことを伝えることで、農村部の女性たちにとても良い影響が与えられると確信しています。このような情報は小規模食品加工業を通じて自らの生活を改善するために、彼女たちに必要なものです」。ラザンは、幅広い食品製造を実現するために、手元にある生の食材や資源を使って、農村女性がより強く、よりしなやかに暮らせるよう働き掛けたいと話しました。

原文プレスリリースはこちらから(英語)
Empowered Syrian women are paying it forward
http://www.fao.org/emergencies/fao-in-action/stories/stories-detail/en/c/1237206/