国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAO、JAXAと連携協定を締結

2020/01/23

このパートナーシップは、世界の森林やマングローブ、泥炭地を監視するためのFAO地理空間ツールキットに、強力なLバンドレーダのデータを追加

つくば・ローマFAOは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携によって地理空間監視ツールキットの規模や対象範囲を強化し、森林や土地利用の評価に関するプラットフォームの使いやすさの向上を目指します。

本日署名された3年間にわたる協定によって、FAO加盟国やその他のデータ利用者はFAOの森林監視用プラットフォームを通じてJAXAのデータセットやグラウンドトゥルース(地上検証)となる証拠にアクセスしやすくなります。

森林減少や土地利用変化は、主要な炭素排出源の一つとなっています。各国が気候変動に関するコミットメントを達成するうえで、衛星由来の情報は極めて重要な役割を果たすことになります」とFAOのダニエル・グスタフソン事務局次長(プログラム担当)は述べ、本日、つくばにて協定に署名しました。

技術的な観点から言えば、この新たな連携により、FAOはSEPAL世界森林資源評価リモートセンシング調査といったデータ収集・分析用プラットフォームの対象範囲や使い勝手を向上させることができます。またその一方で、マングローブをはじめ、森林や土地利用のテーマ全般を対象にしたJAXA主導の各種イニシアチブの精度向上が図られます。JAXAはLバンド合成開口レーダ(SAR)という技術を使用しており、この技術の特徴は、とりわけ長い波長のレーダによって、時間(昼夜)や天候(雨や雲)に関係なく地球の表面を観測でき、植生と地表の両方の情報を収集することができるという点です。

JAXAの今井良一理事は、「LバンドSARデータの蓄積における20年以上のJAXAの経験は、森林の変化を理解し、将来を予測するために必要不可欠であり、JAXAは衛星データが正当な政策決定を支援するために使われることを期待しています」と述べました。また、グローバルな課題に取り組むため、様々な分野でLバンドSARデータの利用がさらに求められており、JAXAはリモートセンシング分野で貢献する準備ができていると言及しています。


今後に向けて

今回の連携では、FAOとJAXAが厳選したデータへの相互アクセスを提供することに加え、FAO加盟国向けの研修の実施や、データをFAOのOpen Forisプラットフォームに統合することも計画されています。

SEPAL(「土地監視のための地球観測データのアクセス、処理、分析システム」の略称で、現在160か国から4 300人以上のアクティブユーザーを有する)を含むFAOの地理空間ツールキットを使えば、誰もが衛星データとスーパーコンピュータの処理能力に容易にアクセスでき、気候変動の緩和策や適応策に取り組むうえで重要となる森林や土地被覆の情報を収集できます。このSEPALプラットフォームは様々な連携に基づいて構築されたものであり、JAXAは今回の連携を通じてGoogleNASAESAPlanet世界銀行とともにプラットフォームへの貢献者として名を連ねることになります。なお、SEPALプロジェクトはノルウエー政府の国際気候森林イニシアチブ (NICFI)により資金援助されています。

FAOは、今回の連携が、森林泥炭地、マングローブの監視や評価に関する実施中の取り組みに役立つことを期待しています。JAXAによるグローバルマングローブウォッチJJ-FAST(JAXAとJICAにより開発された熱帯林早期警戒システム)といったイニシアチブは、この取り組みに対する極めて貴重な貢献となります。

「今回のパートナーシップは高性能の技術や資源を活用するものであり、FAOの知識基盤や潜在的効果がさらに強化されることが期待されます」と三次啓都FAO林業局長は述べました。

 

原文プレスリリース(英語)は以下から
FAO teams up with the Japan Aerospace Exploration Agency

JAXAのプレスリリースは以下から
国連食糧農業機関(FAO)との地球観測衛星データ等の利用に関する協定の締結