日本とFAO、スマート農業の拡大と世界の栄養の変革を目指す
第4回日・FAO年次戦略協議では、相互支援、民間セクターの関与、最先端ソリューションが焦点
東京―1月21日（火）、国連食糧農業機関（FAO）と日本政府は、第4回日・FAO年次戦略協議を開催、昨年のパートナーシップの進捗状況を検討し、今後の共通の優先事項におけるさらなる連携について話し合いました。
ダニエル・グスタフソンFAO事務局次長（プログラム担当）は、外務省と農林水産省との会議でFAOを代表し、髙林宏樹 外務省経済局経済安全保障課長と郷達也 農林水産省国際部国際機構グループ参事官が日本を代表しました。
「FAOは、財政的貢献と技術的専門性の両方を通じた、FAOの幅広い活動への日本からの継続的な支援に心から感謝しています」とグスタフソン事務局次長は述べました。 日本との有意義なパートナーシップは、さまざまなイニシアチブの中でも特に、国際食品規格委員会（コーデックス委員会）と国際植物防疫条約（IPPC）を通した国際基準の設定、世界農業遺産（GIAHS）の推進、人道‐開発‐平和の連携の強化に焦点を当てています。日本は、危機勃発時から持続可能な開発への解決策の長期的な実施に至る、FAOの「人道的対応時の切れ目のない支援」を賞賛しました。
この協議で議論された最優先事項の一つは、今年12月に開催される成長のための栄養（N4G）サミット（東京栄養サミット2020）です。 FAOは、5つのテーマ別作業部会の1つであるフードシステムに関する作業部会の共同議長として、また諮問部会のメンバーとして、サミットの準備を支援しています。 FAOは、東京栄養サミット2020の成功に向けて日本と協力するというコミットメントを再確認し、本サミットの成果が2021年の国連フードシステムサミットにどのように結びつくか、またはどのように貢献できるかについて検討するよう、日本に促しました。
戦略協議のもう1つの主要テーマは、農林業における技術革新と知識の共有に関するものでした。日本政府は、人口の高齢化により起こり得る労働力不足を克服するためにも、スマート農業を含むデジタルイノベーションの必要性を強調しました。日本政府はまた、FAOとの専門知識の共有とさらなる連携に関心を示し、FAOの組織全体でイノベーションを促進することを目的とする「食料と農業に関する国際デジタル理事会（International Digital Council for Food and Agriculture）」の設立を歓迎しました。さらにFAOは、宇宙航空研究開発機構（JAXA）の地球観測衛星データセットをSEPALなどのFAOの森林監視用プラットフォームに統合する、JAXAとの新しい連携について議論しました。1月23日には両者の間で3年間にわたる連携協定（MoU）が署名されました。これにより、上記のプラットフォームの対象範囲や使い勝手の向上、そして世界のマングローブをはじめ、森林や土地利用のテーマ全般を対象にしたJAXA主導の各種イニシアチブの精度向上が図られます。
FAOと日本は、2019年8月に横浜で開催され、FAOの屈事務局長も出席した、第7回アフリカ開発会議（TICAD7）のフォローアップについても議論しました。FAOはこの機会に、FAOと国際連合工業開発機関（UNIDO）が共同で立ち上げた新しいプログラム「アフリカの若者への機会（OYA）」を紹介しました。このプログラムは、アフリカの経済成長を促進するために、農業とアグリビジネスの大きな可能性を解き放ち、一方で若年層の失業問題に取り組むことを目指しています。
FAOと日本はさまざまなテーマにおける議論の中で、民間セクターのさらなる関与が差し迫って必要であることを強調し、持続可能な開発目標（SDGs）に向けた具体的な進展のために民間セクターと協働する最も効果的な方法について検討しました。またFAOは、投資ギャップを特定し、現場でのパートナーシップを促進するための公的データプラットフォームを構築することを目的とするハンド・イン・ハンド イニチアチブと民間連携をつなげる機会を模索しました。さらにFAOは、効果の最大化のためのプール資金の重要性を強調し、これに関して、フレキシブル・マルチパートナー・メカニズム（FMM）とアフリカ連帯信託基金（ASTF）を紹介しました。
全体として、第4回日・FAO年次戦略的協議での実りある対話は、SDGsに向けた進展のために協力を強化し、革新的ソリューションを活用するという両当事者の新たなコミットメントを示す場となりました。
原文プレスリリースはこちら
Japan and FAO to scale up smart agriculture and transform global nutrition
UNIDO・FAOプログラム「アフリカの若者への機会（OYA）」