国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

ブラジルの伝統的な農業システム、世界農業遺産に認定

2020/03/13

ローマ ー ブラジル・ミナスジェライス州エスピニャソ山脈南部の伝統的な農業システムが、国連食糧農業機関(FAO)により、世界農業遺産(GIAHS)として認定されました。ブラジル国内でのGIAHS認定は、今回が初めてです。

山岳地帯に根ざし、エスピニャソ山脈独特の景観と生態系のモザイクからなるこの地は、センプレ・ヴィヴァスの花の採集が行われる場所であり、地球上で最も生物多様性のあるサバンナです。またこの農業システムは、地域の降雨量の調節に重要な役割を果たしています。

センプレ・ヴィヴァスの花の採集家としても知られる地元の農家は、花の採集、アグロフォレストリー園芸、家畜放牧、作物栽培を組み合わせた効果的な農業システムを、最大標高1400メートルともなるさまざまな高度の土地で発展させてきました。このような複合的なシステムは、世代を超えて受け継がれる幅広い伝統的な知識と実践に基づいており、人々が環境との調和を図りながら、食料安全安全保障と安定した生計を確保するのに役立っています。

FAOの遠藤芳英GIAHSコーディネーターは、「地元のコミュニティは、自然のサイクルと生態系に対する深い理解と在来の植物相に関する幅広い知識により、各土壌の性質や地理的および気候の特性によく適合したあらゆる種類の農業活動を管理し、生活を維持しています」と述べ、「これらの活動は、この地域の貴重な作物種、在来植生、そして景観の保全にも貢献しています」と続けました。

地元の人々の活動は、共用の高地での在来の花の採集・加工・保全、数百年にわたって利用されてきた移動ルートに沿った伝統的な家畜放牧、標高の低い場所での野生の果実や種子、薬用植物の収集、伝統的な家庭園芸、丘陵地帯に沿ったより規模の大きい農地の維持などと多岐にわたります。

独特な農業生物多様性ホットスポット

エスピニャソ山脈では、野菜、果樹、塊茎などを含む約90種の作物が栽培されています。地元コミュニティは、世代を超えて遺伝資源を維持し、農業生物多様性を高めるための独特な技術や慣行を発展させてきました。

この地域の人々は、花の採集や家畜放牧の伝統的な慣行に従って山々を移動することにより、作物種豊かな土地を作り、さらには生態系と景観が再生し、種子や遺伝子の自然の流れの中でより多様性を高めることを可能にしています。

在来の植物相の持続可能なアクセスと利用は、植物種の自然のサイクルと収集の度合いに従って各コミュニティによって管理され、各植物種の再生を保証しています。

GIAHSプログラムについて

この新たな認定地により、世界のGIAHSの総数は22か国・59地域になりました。このプログラムは、食料安全保障や生計の維持、レジリエンスある生態系や豊かな生物多様性の促進のために、農村コミュニティが何世代にもわたって築き上げ、また同時に素晴らしい景観の形成に貢献してきた、独特な手法に焦点を当てています。

 

新認定地「ミナスジェライス州エスピニャソ山脈南部の伝統的な農業システム」について、詳しくは以下から
Traditional Agricultural System in the Southern Espinhaço Range, Minas Gerais

世界農業遺産についてはこちらから

原文プレスリリースはこちらから
Traditional farming system in Brazil added to global agricultural heritage list
http://www.fao.org/news/story/en/item/1265507/