国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

食料政策への情報ツールを共同発表 FAO、GAIN、ジョンズ・ホプキンス大「より健康な世界のためのアライアンス」

2020/06/01

共同プレスリリース

ローマ/ボルチモア/ジュネーブー6月1日、国連食糧農業機関(FAO)、「栄養改善のためのグローバル・アライアンス(GAIN)」、ジョンズ・ホプキンス大学「より健康な世界のためのアライアンス(Alliance for a Healthier World)」は、利用者にやさしい新しいオンラインツールを発表しました。この情報ツールは、意思決定者がフードシステムを理解し、変革のための手段を特定し、選択決定を行う際に役立ててもらうために設計されました。

フードシステムは、農家、取引業者、加工業者、卸売業者、流通業者、小売業者、消費者を含むあらゆる範囲の当事者、そして生産現場から市場、食卓に食料を届けるプロセスを含みます。フードシステムが適切に機能することで、健康的な食事のための栄養価の高い食料の十分な供給、アクセス、価格面での入手可能性を保証します。

フードシステム・ダッシュボード(Food Systems Dashboard)は、政策立案者や非政府組織、企業、市民社会のリーダー、その他関係者を対象とした独自の包括的な情報源です。このダッシュボードを通して利用者は、国内フードシステムを適時に可視化し、複数のセクター間の相互のつながりを理解し、他国と比較し、重要課題を特定し、また行動の優先順位付けを行うことができます。

(中略)

たとえば保健省の政策立案者は、果実、野菜、全粒穀物の摂取量や高血圧などの栄養と健康の症状に関する国レベルのデータを調べ、栄養価の高い食品の摂取量の低さと高血圧の蔓延率の高さについての相関関係について知ることができます。データを地域別、フードシステムの種類別、または収入分類別に国際比較し、そのデータをこれらの食品の摂取量を高めるための公衆衛生政策に役立てることができます。

政策立案者はまた、国内の年間降水量の長期平均が、気候変動に直面する中で時とともにどのように変化しているかを調べることができます。このデータを耕作地の灌漑率に関するデータと組み合わせることで、主要作物の収量を増やすために農業用水源をどのように最大限活用できるかなどの政策決定のための情報として役立てることができます。

屈冬玉FAO事務局長は「FAOは、本プロジェクトにおいて複雑なフードシステムに関する情報を入手しやすく、より透明なものにするための広範な専門知識を提供しており、このイニシアチブの成功を確実にするために、パートナー機関とのさらなる連携に期待しています」と述べました。

「このダッシュボードは一般公開されており、フードシステムの変革において大いに必要となる協力を促進するでしょう。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によってもたらされる脅威と機会を前に、私たちには飢餓、栄養、生活、気候、生物多様性、持続可能な自然資源の利用に関心のある関係者間のさらなる連携が必要です。10年後に期限の迫る持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、協力して情報を共有し合うことも不可欠です」と同事務局長は付け加えました。

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フードシステム・ダッシュボードについて

フードシステム・ダッシュボードは、世界、地域、国レベルでのフードシステムについての情報を提供する、政策立案者向けの新しいツールです。35以上の情報源から得た、230以上の国・地域を対象とする170以上のフードシステム指標に関するデータを集約しており、意思決定者や他の利用者が、フードシステム内で食事と栄養を持続的に改善するための方法を特定し、優先順位付けを行う手助けをします。
www.foodsystemsdashboard.org

 

原文(英語)は以下から
FAO, GAIN and Johns Hopkins Alliance for a Healthier World launch new online dashboard to inform better food policy