国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

アジア太平洋州諸国は食料安全保障と生計のための大胆かつ革新的な行動を約束

2020/09/04

バンコク/ティンプー
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策に焦点を当てたFAOアジア太平洋州地域総会

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による被害と慢性的栄養不良の影響からアジア太平洋州地域が復興するには、諸国間およびそれら国々のイノベーション、連帯、一貫性、強力なパートナーシップが必要です。

これは、国連食糧農業機関(FAO)の加盟国40か国以上による4日間の地域総会を締めくくる決定です。 民間セクターや市民社会の代表を含む約750人の参加者は、フードシステムをより持続可能で生産性が高くレジリエンスのあるものに変革する一方で、すべての人々がアクセスできる健康的な食料を生産しつつも農家にも利益のある方法で飢えに苦しむ世界を養うことで一致しました。

FAO事務局長屈冬玉は、 ブータン政府主催で開催された第35回FAOアジア太平洋州地域総会の最終日に、「持続可能で健康的な食事のためのフードシステム変革には、生産コスト削減へ向けた一貫性、パートナーシップ、連帯が必要です」と述べました。

「ビッグデータ、デジタル経済、モバイル技術は生産者に役立ちます」と屈事務局長は述べました。今日、モバイル技術がイノベーションを引っ張っており、「小規模農家が手にするスマートフォンは、その農家にとっての新しい農機具なのです」と同事務局長は続けました。

地域総会では、FAOのイノベーション事務所、そして食料・農業のデジタル化のための国際プラットフォームの設立についても議論されました。

また、農業革新が過酷な作業を減らし、アジア太平洋州地域のフードチェーンがドローン、衛星画像、ビッグデータ、ブロックチェーンなどの技術革新から一層多くの恩恵を得られている、との発言もありました。

「データ、イノベーション、技術を活用することで、このアジア太平洋州地域で、新型コロナウイルス感染症がもたらす問題や、栄養不良と貧困を克服するのに役立つ優れた精神、科学者、起業家精神を養えるのです」と 屈事務局長は述べました。

地域総会では、農業分野における新しい技術とイノベーションの適用についての特別セッションも持たれ、農業分野での新しい技術やイノベーションが若者を引き付け、女性のエンパワーメントを推進するという点についても議論されました。同地域で2030年までに持続可能な開発目標2(飢餓を撲滅し、持続可能な農業を推進する)を達成するには、新しい革新的な食料・農業政策、加工、投資、および知識が再び同地域を軌道に乗せるのに役立つ、ということが合意されました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19、飢えと貧困撲滅への努力の倍増を必要とする

アジア太平洋州地域には、世界の栄養不足の人々の半数以上が住んでおり、新型コロナウイルス感染症の影響により、南アジアの栄養不足の人数は、今後10年間で3分の1近く増加し、3億3000万人に達する可能性があります。

地域総会参加者は、FAOが最近立ち上げたCOVID-19対応・回復プログラムを通じて、各国がパンデミックの直ちに被る影響を軽減し、より良い復興を図り、イノベーションに焦点を当て世界的な飢餓撲滅活動を加速する方法を話し合いました。

地域総会議長を務めたブータンのイェシェイ・ペンジョール農林業大臣は、協力の強化を呼びかけ、「多くの国々で、貧困と飢餓を削減するための極めて大きな進歩が成し遂げられてきましたが、新型コロナウイルス感染症により、その機運が損なわれています。 我々は、より高いリスクに対してあらかじめ準備し、持続可能性のある食料サプライチェーンにする必要があります」と述べました。

地域総会はまた、相応しいパートナーを選び、適切なタイミングで連携するという仲介を可能にし、地域の推進や加盟国のニーズを満たすことを目的とした、FAO のハンド・イン・ハンドイニシアチブを高く評価しました。 このイニシアチブからは、ハンド・イン・ハンド地理空間プラットフォームや統計的革新のためのFAOデータラボなど、最先端のツールが既に発出されています。

同地域総会がFAOの歴史の中で初めて完全なオンラインで開催されたことに言及して、「皮肉なことに、新型コロナウイルス感染症が我々を遠距離会議に駆り立てたことは、ある意味で、手続きに煩わされず、互いに親密になるのに役立ちました」と、屈FAO事務局長は述べました。「我々は11ものタイムゾーンで隔てられているにもかかわらず、一緒に集まり考えさせられる議論を交わし、多くの重要な課題について合意に達したのです。」

他にも、多くの初めての経験や成果がありました。民間セクターが初めてFAOアジア太平洋州地域総会に参加し、 市民社会組織も引き続き重要な発言をしました。FAOの地域統治組織の一部であるこの地域総会開催前に、地域のメンバー各国との国レベルでのコンサルテーションが持たれたことも、初めてでした。

原文は以下から
Asia-Pacific countries pledged bold and innovative action for food security and livelihood

関連記事
1/29 第35回FAOアジア・太平洋州地域総会に向けたインフォーマルコンサルテーション(ご報告)