国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAOと日本は、より環境に配慮し、より強力な農業食料システムへの責任ある投資増大を要請

2021/02/19

ローマ/東京 ― 農林水産省(MAFF)国際問題担当大澤誠農林水産審議官は、本日オンラインによる屈冬玉FAO事務局長との会談の中で、日本は3つの主要分野でFAOへの資金提供を強化している、と述べました。大澤農林水産審議官は、COVID-19パンデミックの関連しての農業サプライチェーン強化、更に 伝統的な健康的な食事の推進、および統計能力を挙げました。

また、農林水産審議官は、追加の資金提供要請手続きが議会で進められており、承認予定である、と付け加え、 日本は、FAOのトップ・ランクの重要性を認識している、と強調しました。

屈事務局長は、日本の過去50年に及ぶ国際開発への寛大な資金提供に賛辞を表すとともに、同国のそのような高いレベルでの関与の継続を促しました。 FAOを通じて送られる日本からの資金は相乗効果をもたらすのみならず、日本の持つ専門知識を知らしめる機会にもなる、と述べました。

両者が国連食料システムサミットへの大きな期待を表明した中で、事務局長は、サミット前の技術支援とサミット後の実施両面におけるFAOの主導的役割についても強調しました。

会談では、農業と食料生産からの温室効果ガス排出を相殺するための投資ギャップを埋める必要性について合意がなされました。 というのも、当該セクターは温室効果ガス排出量の4分の1を占めているとされていますが、緑化に割り当てられた投資は、農業食料システムに流れる総資金の5%未満に過ぎないからです。

この分野へのより大きな民間からの責任ある投資の必要性についても、両者は合意しました。屈事務局長は、政府が模範を示しさえすれば、民間セクターはそれに続き、多くの場合、大幅に増加させると指摘しました。

大澤農林水産審議官は経済、社会、政府の投資に係る共通の基準確立を支援する様、FAOに要請し、政府資金の優先事項の例として、熱帯林を保護しながら作物生産を増大させた例を挙げました。 農林水産審議官はまた、FAOの統治体制における日本の存在が、FAOの堅実な政策調整を促すものである、と述べました。

屈事務局長は、農業セクターにおける豊富な資金調達の機会を提供するFAOのハンド・イン・ハンド地理空間プラットフォームに言及しました。 当初、そのプラットフォームは主に発展途上国対象という認識でしたが、中所得国でもこのプラットフォームとその利点への関心が高まっている、と述べました。

FAOが奨励している世界農業遺産システム(GIAHS)も評価されました。 現在、世界で62のGIAHSサイトが認定されており、日本には11サイトあります。 このプログラムは、食料安全保障、景観の保全、脆弱な文化的伝統の維持を進めるものです。 事務局長は、GIAHSアプローチを一層拡大し、より最近の農業生産地も含めることへの関心に言及し、GIAHSの応用価値は、過去の農業の創意工夫に敬意を表するのみならず、今日そして将来的にも教訓と利益をもたらすものである、と述べました。

さらに、両者の話題が9月開催予定の食料システムサミットにも触れる中、農業システムは総体的でなければ成功しない、と事務局長は締めくくりました。 

英文はこちら: http://www.fao.org/director-general/news/news-article/en/c/1376246/