国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

コモロ・ケニア・マダガスカル・モーリシャス・セーシェルのサンゴ礁域漁業従事者3万人を支援 日本とFAOの連携事業

2022/02/03

モロニ(コモロ)― インド洋沿岸のアフリカ諸国の漁業コミュニティの持続可能でレジリエンスのある生計、食料及び漁業安全保障は、サンゴ礁の保全にかかっている  

日本政府の支援を受けてアフリカ5か国を対象に実施しているREEFFISHプロジェクトの初の2日間にわたる地域運営委員会が、国連食糧農業機関(FAO)によりコモロで開催されました。その中で、サンゴ礁域の零細漁業従事者の多くが収入減少に直面していることが、プロジェクト対象5か国全ての発表者より報告されました。

気候変動、サンゴ礁の劣化、海洋酸性化、サンゴの白化、海砂採取、魚の乱獲のほか、周辺国による密漁が脆弱なサンゴ礁の生態系を脅かしています。零細漁業はさらに厳しい状況に置かれ、沿岸付近のサンゴ礁の乱獲が懸念されています。

零細漁業従事者は以前よりも沖のサンゴ礁域に船を出さなければならず、サンゴ礁漁獲がここ何年も増加が続いています。また、浅瀬の商業魚種が枯渇し、漁業従事者は以前より深海の魚を獲らなければならなくなりました。漁業資源の乱獲により、西インド洋沿岸のアフリカ諸国は毎年何百万ドルもの損失を被っています。

REEFFISHプロジェクトは、サンゴ礁に依存するインド洋沿岸のアフリカ諸国の漁業コミュニティのレジリエンスを強化することで、生計、海洋・食料安全保障を向上させることを目的としています。実施は5か国の政府が主要パートナーとなり、漁業、農業、環境(海洋保護区を対象)、防衛(沿岸警備)、海事、出入国管理、企画・財務などを担当する関連省庁で連携がなされます。

コモロ連合のフメッド・ムサイード農業・漁業・環境・観光・手工業大臣は、は、「違法、無報告、無規制の漁業を撲滅するための効果的な連携と対応に関与することは極めて重要です」と強調しました。

また、漁業者、水産加工業者、貿易業者、水産輸出業者などの資源利用者もプロジェクト実施における重要なパートナーです。

社会的保護と知識の共有を通したレジリエンスの強化

在ケニア日本国大使館の北川裕久参事官は、「プロジェクトの全体的な成果は、持続可能なサンゴ礁漁業、保護地域の選定、若者の雇用増加、水産加工とマーケティングの改善、そしてもちろん、外部脅威に対する沿岸コミュニティのレジリエンス強化」であると述べました。

実施国の経済、社会、政治的環境は大きく異なるものの、海洋環境全般、特に脆弱なサンゴ礁の生息地を保護しながら、ブルーエコノミーとブルー・グロースを推進している点では共通しています。北川参事官はまた、「漁業従事者の社会的保護は各国の優先課題であり、魚やその他の水生動植物のバリューチェーン強化が広く推進されるだろう」とプロジェクトへの期待を述べました。

対象国の漁業部門は、それぞれ異なる発展状況にあります。例えば、セーシェルではマグロ漁業とその関連加工産業が観光と相まって国の経済の基幹を形成しています。モーリシャスでは漁業、観光、サトウキビ生産が最も重要なセクターです。 他方、ケニアとマダガスカルは幅広い経済活動を展開されており、コモロは漁業分野については対象地域の中で最も後発の国です。

FAOアフリカ地域事務所代表アベベ・ハイル・ガブリエル氏は、「サンゴ礁保全や漁業分野の状況が異なるため、各対象国で実施されている活動内容には大きな違いがあります。したがって、各国の取り組みが必ずしも同じとは限りません。プロジェクトの実施を通しての学びが極めて重要です」と述べています。

地域運営委員会の後には、地域間連携と活動の調整を強化するための2日間のワークショップが開催されています。

プロジェクトについて

REEFFISH(「インド洋アフリカ諸国におけるサンゴ礁漁業に依存する漁業コミュニティの強靱性の向上を通じた生計,食料安全保障及び海上保安の強化計画」)プロジェクトは、

このREEFFISHプロジェクトは、5か国向け、440万ドルを日本政府より提供され、2019年8月に開催されたTICAD7に関連してFAOとの間で締結されました。

2019年9月から2020年までの間に、受益国ごとに署名式と事業開始イベントが開催されました。実施は、Covid-19のパンデミックの影響を受けていますが、 2021年初頭から、遅れを取り戻すため活動が強化されています。

 

英語記事
FAO supports 30,000 small-scale fishers in Comoros, Kenya, Madagascar, Mauritius and Seychelles to preserve coral reef resources, thanks to Government of Japan funds(2022年2月2日)

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